2016年3月8日火曜日

アイスランドの堅砂糖

昨日、説明抜きのままだったSugar Cubes molarsykur(モーラルシークル)について補足しておく。最近までアイスランドではおなじみだった堅い角砂糖のことだ。
過去にはスカンジナビア各国で普及していたのが、時代遅れとなって、とうの昔に廃れた。だが、なぜかアイスランドではその後も長きにわたって愛用されてきた。これは文化の古層が周辺部に残る典型例かもしれない。

不思議なことに、ネットで調べても、わたしの知っていたモノが出てこない。どうやらこの種の堅い角砂糖は、アイスランドでも今や歴史遺物になってしまったらしい。写真アーカイブの古めかしい一枚――白い上っ張り姿の店主が、堅砂糖を秤にかけて袋詰めしている写真がそれを物語っている。

で、普通の角砂糖とどうちがうのか?
ともかくコチコチで、角が丸くていびつ、角砂糖としてはちょっと小粒。細かく挽いた粉砂糖を湿らせて、がっちり固めて作る工程が想像できる。
コーヒーに入れて溶かすという使い方はしない。そのためなら普通の角砂糖や粉砂糖がある。

堅砂糖の使い方。1、2粒口に含んでおいて、コーヒーをすする。砂糖のなかを液体が通り抜け、適度に溶け出た甘味がコーヒーの味を天国的に高めてくれる(と思われる)。
結局、溶けにくいということが肝のようだ。

今のアイスランドはすべてにおいて洗練され、堅砂糖の甘味を楽しむ習慣は捨て去ったようだ。どっちみち糖分の取りすぎは体に悪い。



世界一有名なアイスランド人、Björkが最初にいたバンドということで、Sugar Cubes の名前は永遠に残ることになった。
エイナル・オルンは自分のバンドに名前をつけるにあたって、あの旧式の堅砂糖のことが念頭にあったにちがいない。日頃なじんでいる、洗練とはほど遠い何か。小粒でいびつでコチコチだけど、角が丸くてかわいいし...。

その後ビョルクが大ブレークするとは。

「シュガーキューブズ」  ビョルクの右がエイナル・オルン



0 件のコメント:

コメントを投稿